美術の素晴らしさと映画的興奮は別物

真珠の耳飾りの少女」(@六本木GAGA試写室)監督:ピーター・ウェーバー
オランダの画家フェルメールの作品「真珠の耳飾の少女」(俗称「青いターバンの少女」)にまつわるエピソード(原作はフィクション小説)を映画化。17世紀のオランダの町並み(この時代のヨーロッパ都市の街中はわりと汚い)とか,室内装飾,衣装などの美術は素晴らしい。手抜きの無い上質のお仕事。ただ,それと映画としての評価は別。絵画的表現を多分に意識した画作りになってはいるものの,どうしても劇映画の画作りから逃れられなかったのは才能の限界か。絵画的表現,特にオランダ絵画ということで言えばピーター・グリーナウェイという天才がいるわけで,この作品には残念でしたと言う他はない。(6点)